Moodymann - DJ-Kicks

長年続くシリーズの50作目が広く称賛された前年を経て、DJ-Kicksは2016年、また新たな画期的なエディションで帰ってきた。デトロイトを代表するDJ兼プロデューサー、Moodymannが、初のマルチアーティストDJミックス・コンピレーションを手がける。本名ケニー・ディクソン・ジュニア、Moodymannは、モーターシティを拠点とし、その名と完全に同義語である、他に類を見ないエレクトロニックミュージックのアイコンだ。彼は率直で、信じられないほどカリスマ性のあるアーティストであり、90年代初頭からハウスとテクノに独特で魂のこもった印を刻んできた。ジャズ、ファンク、ソウル、ブルース、ロックを魅惑的な方法で融合させ、Planet E、Peacefrog、そして自身のKDJとMahogani Musicといったレーベルで、エレクトロニックミュージックの最も決定的なトラック、EP、LPを生み出してきた。最も甘美で官能的なサウンドから、最も暗く堕落したグルーヴまで、自在に操る彼は、独自の個性と意識の流れを、見事に選ばれたサンプルに注ぎ込み、生き生きとした本物の音楽を作り出している。

MoodymannのDJセットは伝説的だ。顔を隠してプレイすることが多いDixonは、聴衆を自身の個人的な音楽環境へと誘うことを優先し、ありふれたヒット曲を避ける。彼はマイクを握り、自分の考えを述べ、型にはまらないことを恐れない。彼の予測不可能で難解なセットは、常に音楽の宝石で満ちた宝の山だ。中には馴染みのあるものもあれば、聞いたことのないものもあり、常に驚きに満ちている。そしてそれが、彼をDJ-Kicksに完璧に適合させる理由だ。DJ-Kicksは、参加者に内なる情熱を自由に表現し、親密なリスニング体験を提供することを目的としたシリーズだ。

75分、30トラックに渡るこのミックスで、Moodymannは期待を裏切らない。悪名高いビニールレコードの収集狂として知られるディクソンだが、彼の目的は同業者を出し抜くことではなく、質の高い音楽を提示することだ。とんでもなくレアなレコードや入手困難なレコードを披露するのではなく、彼は代わりに、心を痛めるソウル、素晴らしいヒップホップ、そして愛に満ちたハウスを取り入れ、官能的でブルースに染まったムードを作り出すことに焦点を当てている。自身のクリエイティブなサークルからの楽曲に加え、このミックスには11曲のMoodymannによるエクスクルーシブなエディットが収録されている。ケニー・ディクソン・ジュニアが関わるすべての作品と同様に、DJ-Kicksはダンスミュージックのオリジナルアーティストとしての彼のセンス、スキル、そしてソウルを体現している。