森谷拓実 Black Nation - メリーゴーランド
LABEL: Jazz Room Recordsかつて、ロンドンのトッテナム・コート・ロードにある伝説的なホースシュー(ジャズダンスシーン発祥の地)や、ファンキーなカムデンタウンにあるエレクトリック・ボールルーム(シーンが形作られた場所)といったジャズダンスの常連スポットでは、あるレコードが確実にダンサーたちを熱狂させた。それは、ソニー・レコードから発売されたLP「ダブル・レインボー」に収録された、日野皓正の「メリーゴーラウンド」だ。当時、ジャズフュージョンの第一人者たちが名を連ね、ベース主導のリズム列車がジャズフロアの観客を首根っこから掴み、サイケデリックなジャズの山腹へと突き落とすような演奏だった。出演者リストを見れば、驚くことではないだろう。日野皓正、ハービー・ハンコック、エアート、ドン・アリアス、アンソニー・ジャクソン(あの堅実なベースラインを提供)、ハーベイ・メイソンなど錚々たるメンバーだ。時は流れ、ジャズ・ルーム・レコードは、ジョー・マクフィー作曲の「シェイキー・ジェイク」を、森谷卓実率いるブラック・ネーションが演奏したバージョンで、思いがけずベストセラーを記録した。この曲は、アップルTVのカルチャーシリーズ「セヴァランス」の一エピソードで取り上げられたことで、大きな注目を集めた。続編として、少し「型破り」なことをしてみようというわけだ。オリジナルは、BBEレコードの「Jジャズ - 1954~1988年の日本のフリー&モダン・ジャズ・アルバム」に収録され、多くのDJチャートに掲載されていたため、ポール・マーフィーの依頼で、卓実は自身の好きなミュージシャンたちを集め、ジャズフロアの定番曲へのヘヴィーファンク・トリビュートをレコーディングした。狂騒的なスチームハンマーのようなペースで疾走する、8分間の反抗的なジャズだ。