RELEASE
ウィルソン・タナー - レジェンズ
LABEL: Efficient Spaceウィルソン・タナーは、『Legends』で乾いた大地へと回帰する。南オーストラリアのマノン・ファームのブドウ畑で制作された、ワインに浸った農業ファンタジーだ。彼らの初期作品が、パース郊外の庭先の太陽に照らされた倦怠感(69)や、ポートフィリップ湾の川船での航路外への漂流(ii)に沈んでいたのに対し、『Legends』では、潮風の代わりにブドウ畑の汗、乾いた土の上を擦れる靴の音、そして夏のテストクリケットシーズンを賑わす作業員のラジオの音が響き渡る。この農業の霞を通して、ブドウ畑の様子が浮かび上がってくる――アヒル、犬、チドリが邪魔をし、トラクターや四輪バギーが飛び去り、ステンレス鋼が縁に輝く。電源を使わずに録音されたマノン・デモは、農場の創意工夫にあふれている。風、金管楽器、バラライカ、風船、パイプ、シンセサイザーが、ワイヤー、テープ、紐で楽器に組み込まれている。オーストラリアのブドウ栽培の風刺画とも言える『Legends』は、自然派ワインの神話と堆肥で満ち溢れている。仲間意識で飲み食いし、おならをしながら、ウィルソン・タナーは周囲をありのままに、フィルターを通さずに表現し、不協和音、残り物、沈殿物をボトルの中に残している。バイオダイナミックなサウンドの宝庫だ。