RELEASE
ケリー・モラン ― 鏡を信じるな
LABEL: Warpニューヨークの作曲家・ピアニスト、ケリー・モランは、演奏会場とクラブのあいだで長年にわたり身を置いてきた経験を背景に、特異なピアノ奏法と電子的な処理の境目で制作を続けている。本作は彼女にとって五作目の長編作品であり、Warpからの初作となった2018年作『Ultraviolet』ののちに最初の素描がなされた素材へ立ち返る一枚でもある。初期の着想は、環境的な律動と執拗な反復音型に支えられていたが、感染症の流行と私生活での断絶の時期が、彼女をより峻厳な2024年作『Moves In The Field』へと向かわせた。ふたたび糸をたぐり寄せるように、本作は、断裂と立て直しをめぐる楽曲のなかへ、より多くのプリペアド・ピアノ、歪み、脈動を折り込み、そのために思わず耳を疑う題名が付けられている。Warpの同門であるBibioとの共作にも注目したい。電子音楽の系譜において、彼女がなお形成途上の位置にあることを示している。